【節税対策】財産の分類:その他

その他の節税対策

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節税への道:養子をとる

「家族のために上手に財産を遺せるように」って相続税の
節税を工夫しているのに、『節税目的で家族を増やす』??

そう考えると、何だかおかしな気もしてくるような……
養子をとる』のも節税対策になるの?

相続税の節税効果を考えれば、『養子』の影響は大きいね。

まずは活用した場合の主な変化を挙げてみようか?
次の3項目の計算には、法定相続人の人数が用いられるんだ。

  1. 相続税の基礎控除額が上がる
    3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
    ……遺産総額がこれを超えなければ相続税は発生しない
  2. 生命保険金・死亡退職金の非課税限度額が上がる
    500万円 × 法定相続人数
    ……それぞれこの額までは相続税の課税対象にならない
  3. 相続税の総額が下がる
    課税対象の遺産総額を、法定相続人が法定相続分を
    元に分配した想定で算出した課税額を合計したもの。
    ……仮に遺産総額が同じであっても、相続税の総額は
      法定相続人数や各人の法定相続分によって変わる
      ※課税率は対象の金額が小さいほど低くなるため
つまり、『養子』として法定相続人の数を増やせば、
この3つの部分に直接影響が出てくるってことか。
ただ、3を読んだところで気が付いたんだけど……。

法定相続人数が多いほど、控除額や非課税額は増える
でも、法定相続人一人あたりが受け取る遺産は減るからこそ、
相続税の総額だって安くなっているんじゃないのかな?

うん、クロウくんの言ったとおり、単純に分ける人数が
増えるわけだから、分配額も目減りするのが普通だね。

じゃあここで、遺産分配の話。相続財産は法定相続分や、
有効な遺言書指定相続分に従って分けることになるね。
まぁ、『遺産分割協議』などにより、相続人全員の同意が
あれば、必ずしも他2つの相続分に従う必要はないけど。

そっかぁ、取り分については相談できるんだね。

例え話として聞くんだけど、相続は放棄させるつもりで、
節税のためだけに養子をとったとして、上手くいくと思う?
遺言書で養子には遺産を渡さないように指定したりさぁ。

クロウくん、そんなに悲しい顔しなくたって大丈夫!
節税目的での安易な悪用はしにくくなっているんからね。

そもそも、『養子』に節税以外の合理的な理由がなければ、
税務署から租税回避行為とみなされてしまう場合もある!
養子縁組自体が解消されるわけではないけれど、養子を
法定相続人に含めないで相続税の計算を行うことになるよ。

相続税の計算をする上では、『養子』を法定相続人としての
人数に含める上限などがあらかじめ定められているし、
普通養子特別養子では、計算への含めかたも違うんだ。
国税庁 > タックスアンサー > 相続人の中に養子がいるとき

また民法でも、兄弟姉妹以外の相続人は『遺留分』として
相続財産から一定の割合を取得できると定められている。
養子だって、『遺留分減殺請求』を行うことができるよ!

へぇ、そんなルールがあるのか。安心したよ~。
相続税の課税額や遺産の受け取りで大きな不平等が
出ないように、きちんと予防策が設けられているんだね。

遺留分』は養子に限らず、遺言書での遺産分配の時も
同じように考慮に入れておいたほうが良さそうだ。
特定の人が遺産のほとんどを譲り受ける結果になっても、
遺留分の請求とついでの嫌味まで重なれば、クタクタだよ。
確かに、そうかもね。良かれと思ってやったことでも、
のこされた側がギスギスしちゃうとかなり大変だから。

実際のところ、相続を考えて『養子』をとる場合に
想定されるのはこういうケースじゃないかな?

  1. 自分の孫を養子にとる
    ……まだ親のいる孫まで法定相続人に含めるため
  2. 子の配偶者を養子にとる
    ……一人娘の配偶者を、事業の後継者にするため
    ……面倒を見てくれた息子の嫁に、財産を遺すため
ぼくが思ってたより、現実は平和な雰囲気だった!

あれ? いわゆる『孫養子』のほうは確か……。
孫の親である被相続人の子が既に亡くなっていれば、
養子にとらなくとも『代襲相続人』として相続人に
なれるはずだから、それ以外で養子とした場合だね。

この2つの『養子』、さっきの人数制限の他に何かある?

まず、1つめの『孫養子』の場合。

これは自分の子の代を飛ばして、孫の代へと直接
自分の財産を相続させようという意図になるよね。
つまり、相続税の発生する機会を1度回避できる。

そのぶんの不平等を軽減するために、『孫養子』の
相続税額は2割加算されると決まっているよ。

なるほど、2割加算についてはこのあたりかな。
国税庁 > タックスアンサー > 相続税額の2割加算

節税目的で相続人の人数を『養子』として増やしても、
その加算される2割がどのくらいになるかだね。

続いて2つめだね。子の配偶者を養子にした場合。

これは税に関わる法律上どうこうってわけじゃなく、
夫婦関係が破綻した場合に問題となる可能性があるよ。
離婚に関係なく、養子縁組は継続するんだからね。

子との離婚によって、相続をさせたくなくなった時には、
養子縁組の離縁に対して慰謝料を請求されることもある。

もともと節税対策のために『養子』をとると言うよりは、
遺産を相続させたいという理由が大きいかな?

どんな場合にしたって、養子縁組は簡単に取り消せない。
相続に限らず、専門家と事前によく相談しないとね。

最後に、『養子』をとる場合は本来の法定相続人全員から
あらかじめ了解を得るというプロセスがとても重要だよ!

すっごく基本的なことだけど、相続の関係上、
法定相続分や遺留分が減ることになるんだからね。

孫養子』だって、他の兄弟から「あいつの家ばかり
取り分が増えて、こっちは損しかない」と思われたり。

はじめは養子の問題だけだったのに、いつの間にか
互いに不満が噴出して『遺産分割協議』も泥沼化……!?

なんてことのないよう、しっかり話し合っておかなくちゃ!

【財産の分類から逆引き】相続税・節税対策まとめ

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