請求手続きで、納付した相続税の一部が戻ってくる?

相続税は、対象となる財産の総額が基礎控除額を超えなければ、課されることはありません。
しかしその反面、前提となる見通しを誤ると、思わぬところで巨額の税金を支払う可能性が出てきます。
⇒ 特に平成27年度以降の相続は、税制改正により基礎控除額が引き下げられているため要注意!

相続の発生後に税務署から申告書が届いた場合、申告や納税には一定の期限が設けられていますが、
手続きの際には、課税の対象となる多様な財産について、各々きちんと把握する必要があります。
1から準備を整えるとなれば、本来身内の喪に服す期間も慌ただしいものとなってしまいますね。

いざ相続税を納める段階になったとき、余裕を持って申告や納税を済ませることはもちろん、
税額に関しても「可能な限りの対策をした」と自信を持って言える人はどのくらいいるでしょうか?

「事前にもっと注意を払っておくべきだった」「こんなに支払うことになるとは思わなかった」など、
相続税を支払った後でも、公的な手続きを通じて、その一部が手元に返ってくるとしたら……?

相続税の“還付“請求を利用しよう!

一般的にはあまり知られていないようですが、実は相続税や贈与税は減額更正の請求を行うことができます。
これは主に相続税の課税対象などを見直すことで、言わば“過払い“であった部分の払い戻しを受けるものです。

相続税の場合は、平成27年度現在、基本的に申告期限から5年以内であれば還付の請求が可能です。
国税庁ホームページ >[手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続

『FREEな相続』では、今回もサクラとクロウの対話式で、相続税還付の考え方について簡単にご紹介いたします。
納税前に充分な準備を行えなかった方はもちろん、ひと通りの対策はしたという方も、ぜひご一考ください。

みなさんこんにちは! まずはこちらで自己紹介から。

Freeな相続』の解説役としてお馴染みの
おしゃべりコザクラインコ、サクラです。

自慢の翼を活かした大きな身ぶりも評判だよ!

続きましてこんにちは、解説助手役クロウです。

サクラくんの説明に相槌を打ち、時には突っ込みや補足も
入れながら相続や相続税に関する情報を紹介しています。

どうぞよろしくお願いします!

さて、今回は既に納めた相続税から還付を受けるための
手続きについてだね。必要な書類や対象などの確認なら、
国税庁のホームページに詳細な資料があるよ。
国税庁 >[手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続

相続税の申告期限が平成23年12月2日よりも後の場合は、
その期限から5年以内であれば減額更正を請求できるんだ。

じゃあ、相続税の節税対策が万全じゃなかったりして一度は
払ってしまった税金でも、「多く見積もりすぎだった」って
気付けた人は、余剰分を返してもらえるかもしれないんだ?

相続税の申告期限は、相続発生から10ヶ月だったよね。
遅れないように慌てて申告や納税の準備をしたのなら、
納税額を削減するよりも、審査に引っ掛からないよう、
多少のマージンをとっているケースだってあるんじゃない?

そうそう。税務署のチェックでも不足は指摘するけど、
多く支払われる分についてはわざわざ問題にしないもの。

だから、「ここで払い過ぎてるかも」っていうポイントが
わかっていれば、相続税の還付が見込めるかどうかも
ある程度判断しやすくなるでしょう?

まずは全体から心当たりを探った上で、実際にどのくらい
戻ってくる可能性があるかを専門家に相談できるってわけだ。

よ~し、じゃあいつも通り、サクっと解説よろしくね!

相続税の減額更正、着目ポイントは3つ!

前提として、相続税の減額更正請求では、納めた税金のうち、過払いとして認められた金額還付されます。
専門家に相談した場合はどういった観点から探っていくのか、大まかな分類ごとに追ってみましょう。

  1. 財産
    • ……相続税の課税対象となる『財産』を見直す
  2. 債務
    • ……相続税の課税対象から差し引く『債務』を見直す
  3. 控除
    • ……相続税の『控除』制度を活用できているか見直す

見直しポイント1:『財産』

最初は『財産』の見直しだ。相続税を減らしたいわけだから、
ここでは財産の評価額を落とすことができないかを考えるよ。

よく用いられるものとしては、『広大地判定』が挙げられるかな。
場合によっては評価額を半分以下まで落とせることもあるくらい!

国税庁のページのリンク先からも、色々な情報が辿れるよ。
国税庁 > 財産の評価 > No.4610 広大地の評価

おっと、うちの税理士事務所で得意としている土地の評価だね!

相続財産としての土地の評価って細々とややこしいから、
税の専門家でもこの分野に明るくない人は結構いるんだっけ。

それにしたって、判定次第でそんなに違ってくるものなの?

そうだねぇ。土地の区分が『宅地』だったものを『山林』に
変えただけでも、評価額の低下が見込めるたりするんだ。

広大地は特に難しい話になっちゃいそうだから詳細は省くけれど、
イメージしやすいように、ひとつ箇条書きで例えてみようか。

  1. 広大地を、「戸建住宅用の分譲地」と仮定する
    ※実際にはまだ分譲先など決まっていなくてもOK
  2. 分けた土地の中に住宅を建てていくとすると、
    その間には道路やゴミ捨て場が必要になるはず
  3. 道路などに充てるべきスペースについては、
    相続財産としての土地の評価額から減額できる

大雑把に言うとこんな感じで、評価額を落とせることもある。

なるほどなぁ……。土地自体には手を加えなくても、
主張のし方を変えるだけで評価が違ってくるものなんだ。

これは上手く行けば、税額にもかなり影響が出てきそうだぞ。

でしょ? まぁだからこそ、どんな土地でもそのまま
認められるってわけじゃないし、例外だってある。

例えば、さっきの広大地の話でも、周辺環境などから鑑みて
分譲宅地よりも「マンション適地」として判断された場合、
「道路部分は土地として使えないんだから減額してよ」
っていう主張は通らなくなっちゃうもの。

むむむ……。持ってる広大地が駅やバス停から遠いとか、
その周りが戸建てばかり並んでる住宅地だったりすれば、
「マンションには不向き」って主張できるかなぁ?
最終的には担当さんの判断次第ってことになりそうだから
書類に写真を添えて根拠を示したり、実際に説明する時の
駆け引きなんかはプロに依頼して任せたいところだね。

見直しポイント2:『債務』

さてさて、このままいくと次は『債務』か。

例えば借金などのマイナス分も「負の遺産」として
相続する
ことになるから、税額の計算時には負債額も
相続財産総額に合わせて差し引くことになるんだっけ?

仕組みとしてはすごくシンプルだけど、ここでは
「相続時に把握していなかった借金が見つかった」
ようなケースとはまた異なる着眼点を紹介するよ。

実は意外と見落とされがちな『債務』もあるってこと!

え~っ、新たな借金の発覚だけでも面倒そうだけど……。

それじゃあこれまでは『負債』として意識していなかった
お金の動きも、相続税額に影響してくる可能性があるの?

そういうことになるね。知っていなければ気付けないような
項目だったりするから、プロの知識がとても頼りになる。

例えば借金だけじゃなくて、税金を滞納していた場合、
その延滞税も含めて『債務』とみなされる、とか。
ただしこれは課税対象が被相続人である税金に限られるよ。

へぇ、そこまでは考えたことなかった……!
やっぱり相続税については一度専門家に頼んで、
総合的なチェックをしてもらうのが安心かもしれないなぁ。

国税庁のページにも説明があるから、参考になるといいけど。
国税庁 > 相続税 > No.4126 相続財産から控除できる債務

見直しポイント3:『控除』

相続税は家族への遺産が課税対象になっているから、
正当な理由さえあれば控除が認められる部分もわりと多い。

そういう制度はきっちり利用したいよね!ってことで、
最後は『控除』を適切に活用できているかの確認だ。

よく見られる例を挙げるなら、『相次相続控除』があるね。
国税庁 > 相続税 > No.4168 相次相続控除

これは例えば、父と母が立て続けに亡くなった場合、
相続財産の内訳はほぼ同じなのに、2回分の相続税を
重ねて負担しなくて済むようにっていう救済措置だっけ。

他には、相続人が未成年者あるいは障害者であった場合も
それぞれに一定の控除が受けられるようになっているよ。

国税庁 > 相続税 > No.4164 未成年者の税額控除
国税庁 > 相続税 > No.4167 障害者の税額控除

税理士として事務所を構えているところに依頼したなら、
そんなに大きな見落としはまず起こらないはずだけど……。

制度だって税制改正によって変わっていくものだから、
身近にちょっと詳しい知人がいて、丸投げしちゃったりすると
「新しい制度を知らなかった」ってことはあるかもしれない。

だからこそ、制度を節税の頼もしい味方にするには、
時勢にそった新しい変化にきちんと対応してくれる
専門家を見つけておくことが肝要になりそうだね。
うん、これで今回の『財産』『債務』『控除』を見直す
おさらいは終わったぞ~。相続税を納めてしまった人も、
振り返ってみてやり残していそうな部分があったかな?

請求することで損になるような手続きじゃないから、
一度しっかり相談してみれば、可能性が広がるかも!

相続税の還付請求にチャレンジするなら

相続税を納めた後に行うことのできる請求は、申告や納税の直前に慌てて
試行錯誤するケースと比較してみると、非常にローリスクな方法です。

例えば、申告や納税の段階で期限を過ぎてしまうと、無申告加算税
延滞税が課税されることになります。その点、減額更正の請求ならば
申請が通らなかったとしても、税額がかさ増しすることはありません。

申告・納税までの10ヶ月と比べても5年間の猶予があるため余裕が持て、
ここで相続税に詳しい税理士を選んで相談することができれば、
一度納めた相続税からより多くの金額を取り戻せる可能性があります。

それに加え、税理士などの専門家が依頼を受ける際は、完全成功報酬制
なっていることが多いのもポイントです。先に大まかな見積もりを行い、
還付が見込める場合には協力体制をとって取り組むのが効果的でしょう。

⇒相続税の還付請求をお考えなら、経験豊富な当事務所まで
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