遺産分割前の払戻し制度の創設
相続された預貯金について、各相続人は遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができるようになりました。
≪改正前≫
相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産に含まれるため、生活費や葬儀費用の支払いなどのためにお金が必要になった場合でも、遺産分割が終了するまでの間は、被相続人の預貯金の払戻しができませんでした。
≪改正後≫
遺産分割における平等性を図りつつ、生活費や葬儀費用などでお金が必要となったときに対応できるよう、預貯金の払戻し制度が設けられました。
●家庭裁判所の判断を経ずに払戻しが受けられる制度
各相続人は、以下の計算式で求められる額については、他の共同相続人の同意がなくても、金融機関から単独で払戻しを受けることができます。
単独で払戻しができる額(口座基準) =相続開始時の預貯金債権の額×3分の1×払戻しを行う相続人の法定相続分
※ただし、1つの金融機関から払戻しが受けられるのは150万円まで
●保全処分の要件を緩和
仮払いの必要性があると認められる場合には、他の相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになりました。