借金をすると相続税が減ると勘違いしている人いませんか?
相続税の相談を受けていると、相続税を減らすために借金をしようと言う方がたまにいらっしゃいます。
たしかに借金があると債務控除といって相続税を計算する際に相続財産から控除するので相続税が減ることになります。
しかし借金をすれば当然ながら現預金という形で財産も増えるため、ただ借金をするだけではプラスマイナスゼロとなり相続税は全く変わりません。
ではその相続税を払うのが嫌だから、その借金した現預金を消費してしまおうという人もいます。
たしかにそうすれば現預金は無くなり借金だけが残り結果として相続税は減ります。
でもそれって減らした相続税以上に借金を返済することになるので、普通に考えたら意味がないことがわかります。
実は相続税が減るのは借金したことによって減るのではなく、借金で購入した資産が影響して相続税が減ることになるのです。
「一例を挙げますとよく相続対策で使われているアパート建築の場合」
現状の財産
現金 10,000,000円
土地 100,000,000円
合計 110,000,000円
1億円の借金をした状態
現金 110,000,000円
土地 100,000,000円
借入金▲100,000,000円
合計 110,000,000円
1億円のアパートを建築
現金 10,000,000円
建物 35,000,000円(評価額)50,000,000円×(1-0.3)
土地 85,000,000円(評価額)100,000,000円×(1-0.5×0.3)
借入金▲100,000,000円
合計 30,000,000円
1億1千万円あった相続財産が3000万円まで減って基礎控除以下となり相続税はゼロになりました。
「計算上の財産が減ったポイントは2カ所」
①建物は1億円で建築しても相続税評価額は約5000万円くらいになる
②土地と建物は賃貸になるので借主に借地権や借家権という権利が発生するため評価減となる。
そして借金はそのまま1億円の債務控除となる。
いかがでしょう。これがただ借金をするだけでは相続税が減らない理由となります。
それとアパートを借金をして建てた方がいいか、それとも手持ちの現預金で建てた方がいいかと聞かれることもあります。
「借金で建てた方が相続税額が減っていいだろう。借金は引けるから」と言う方もいらっしゃいますが相続税額だけを考えた場合、上記と同じ理由で「どちらでも同じ」ということになります。